1302
北極圏ノルウェー・フィヨルドの山スキー報告

実 施 日 2013年4月27日〜5月3日
リーダー ガイドFred(シャモニ)他2名
報 告 者 佐藤
参加者数 日本人7名(会員4、非会員3名)
フランス人11名、デンマーク人6名
写真・動画 高尾・及川・平野・木村(員・木村(哲・佐藤

Lyngen Alps viewed from Djupvik pier

全体概念

 ASC会員河野さんが2008年に単独で参加し雪上散歩に紀行を載せている。その時のガイドFredから2013年の計画を知らされた河野さんがASCのメーリングリストに投稿し7名が行くこととなった。4月27日、トロムソ港で母船となるPolarGirl号に日本人もミュンヘン経由、フランクフルト経由、ソウル・ヘルシンキ経由とバラバラに集合した。
連絡先、ツアー料金等:http://transalp-cham.com/norway.html

GoogleEarthがインストールされていれば、ここをクリックして
GoogleEarthでご覧になれます。
ノルウェーのOsloから飛行機で北極圏を超えて、北緯69度のTromsoに4/27現地集合した。
朝、船で移動しゴムボートで上陸。下山後、ゴムボートで収容されて次の船着場に移動。
船着場での上陸、乗船もあった。
@4/28:Uloya島() A4/29:Kegan島()
B4/30:Lyngen地区南(青) C5/1 :Kafjord地区(赤紫)
D5/2 :Lyngen地区北() E5/3 :Tromso地区(灰色)
日付をクリックするとその日のラベルへ飛びます

フランス人グループが撮った動画、全体のまとめとして良く出来ている。画像も鮮明で音楽もイイ。
ロープで下降したルート(初日4/28の赤線ルート)と
「Le marteau de Thor」初滑降(Premiere descente)には日本人が参加していない

船の生活

 チャーター船POLARGIRL ゴムボートが我々を上陸地点へ運ぶ


4月27日、トロムソ港のPOLARGIRLに乗船 上陸用ゴムボートとモーターボート

すれ違ったフランス船籍のチャーター船 少し小型のチャーター船、甲板には当然に風呂があった

朝食のチーズ・野菜・小エビ・ハム・スモークドサーモン、昼用のサンドイッチも朝食時にこれで各人が作る

スープとパンで始まるディナー。パンは朝昼晩同じもの 夕食は自分で皿に盛る

サウナは電熱なのに風呂は薪で沸かす ゴムボートをクレーンで下ろす

ライフジャケットを着てゴムボートの順番を待つ 7・8人づつ乗って海岸へ上陸


動画 Polargirlでの生活

@(1日目) 4月28日 晴 戻る


 初日、いよいよ6日間連続のスキーツアーが始まる。
 佐藤はガイドが「8:30頃朝飯でそれから出発」と言ったと理解したので、船を離れて散歩していた。ところが7:00に出港してしまい、誰も佐藤が乗船していないことに気が付かず、陸からの電話連絡でようやくトロムソに引き返した。佐藤を収容して再出港したのが8:30、1時半の遅れとなった。平謝りの私に、ガイド達は気にするなと笑っていた。北極圏の日は長く、夜の11時過ぎまで明るくあわてる必要はない。
 Polargirlへの連絡方法を探して佐藤は駆けずり回り、寿命が縮まる思いであった。


佐藤を拾いに1時間半後に戻ってきたPolargirl

Uloya島 Garguから北上して東海岸に降りた
クリックしてGoogleEarthでご覧下さい
みどり線が亀班、赤線(推定)が兎班
クリックして拡大図

人口7万のトロムソ市を出港 Uloya島 右から左へ稜線をたどり 左の山から下降

後ろは4日目に行ったKafjord地区 最初のピークに到達

うさぎ班はザイルで下降した かめ班はなだらかな斜面を下る

北に翌日滑ったKegen島が見える トナカイ(カリブー)の群れを見る


@初日4/28 Uloya島の動画

A(2日目) 4月29日 Kegen島 晴 戻る


Kegen島 亀班:黄色トラック 兎班:赤トラック(推定)
クリックしてGoogleEarthでご覧ください                クリックして拡大地図 

海岸からすぐシール登高する 沢沿いに登る

登りが続く TさんにChristophが付いた

かめ班はRodotinden頂上から降る TさんをChristophが誘導する

うさぎ班はRodotingen手前から鞍部へ降る 鞍部からは苦しい登り

Store-Kagtinden頂上 降りが続く

かめ班、海岸にたどり着く バイキングに扮した甲板長が迎えに来た

うさぎ班は右のピークから降りた かめ班の降ったRodotingen イイ斜面!


A2日目4/29日 Kegen島の動画

B(3日目) 4月30日 Tafeltinden 晴・ガス 戻る


 Djukvikの桟橋から良く見えた対岸の山々Lyngen Alps のTafeltindenを登る。
山頂1395mは6日間の行動のなかで最高地点となった。Koppangsbreen氷河を登り、裏側から廻りこんで山頂に至った。
 Strupbreen氷河の滑りはダラダラとしたものだったが、海岸の近くで傾斜が強くなった。


停泊地Djukvikから見たLyngen Alps
雲が掛かった真中のKoppangstindenの左からぐるっと廻って黒いピラミッド型岩壁の左側に下りてきた。

 クリックしてGoogleEarthでご覧下さい

 クリックして拡大地図でご覧下さい

ゆるい草地の登り クトーを着けて斜登高

クトーはもう要らない 氷河上を歩く

高度が上がってくる よその隊が滑って来た、誰か落ちたらしい

頂上は濃いガスでなにも見えない 頂上から少し降ると視界が開けた

氷河の上をダラダラ滑る Polargirlが見える、もう安心だ


 B3日目 4/30 Tefeltindenの動画


C(4日目) 5月1日 Kafjord地区 曇 戻る


 停泊地Gargu目前の海岸から谷を登り、コルに出た。コルから山頂Stohhagenへは雪面が硬くて諦め、そのまま降った。
 デンマーク人はスキーが上手く体力もあった。フランス人は2名を除いて、他の人は山スキーをこのツアーの為に今シーズンから始めたと聞いた。スキーは上手かったがシール登高ではモタモタしていた。日本人グループのTさんはスキーもシール登高も亀さんだったが、ガイドの力はすごく、行動4日の内3日は皆と同じルートを遅れながらも完走してしまった。
 船がDjukvikの桟橋にいて、降りたところからゴムボートに乗れず、道路をかなり歩かされて、船が待っている桟橋に着いた。


クリックしてGoogleEarthでご覧ください クリックして拡大地図でご覧ください

正面の谷を登る 広い谷を行く

少しづつ急になる 手前の岩の向こうがコル

かなり急になってくる コル目前の斜面

最後のキックターンをChristophが助ける コルに到着 後続はキックターンに苦戦している

コルから山頂への稜線  ガイドが偵察して諦めた コルから下へ滑る


 C4日目 5/1 Kafjordの動画


D(5日目) 5月2日 Lyngen北部 晴 戻る


Lyngen地区の山々はLyngen Alps と呼ばれて氷河を抱いた山が連なっている
5日目は3日目に行ったTagelfindenから北にあるStorgaltenと Lillegalten

クリックしてGoogleEarthでご覧ください クリックすると拡大地図

今日はゴムボートでなくボートを下ろす Storgaltenを正面に見て登り始める

薄い積雪の上を登る 後ろには2日目に滑ったKegen島

うさぎ班は左 、かめ班は右へと分かれた うさぎ班の休憩

頂上へ続く雪庇の稜線に向かう 雪庇をAsmusの助けで抜ける

兎班の日本人4名とガイド、Storgalten頂上 亀班は正面のLillegaltenへ

クトーを着けたTさんにクリストフが添って登る Lillegalten頂上へ

Lillegalten頂上から見たStorgaltenの大斜面 船着場にPloargirlが待っていた


D5日目 5/2 Lyngen北部の動画

E(6日目) 5月3日 Ullstinden 晴   戻る


 いよいよ最終日、場所もトロムソ地区である。
 灰色で示されるトラックが一般参加者のコースであった。赤線のコースは兎班というわけではなく最初から参加者が決まっていたようで、我々の中で誘われた者はいない。
 ガイドは3人であったが、デンマーク人グループのなかにシャモニのガイドAsumsがいて、実質4人であった。彼らはノルウェーに来る前から行きたいルートを決めていて、一般参加者とは別行動となることがあった。
 我々は事前にコースについてはなんの情報もなく、ガイドにお任せであった。前日ないし当日朝にはガイドから地図でコースを説明された。出発時間などの説明はなかったが、朝食のあとでゆっくり準備しても間に合うというペースであった。

クリックしてGoogleEarthでご覧ください クリックすると拡大地図

船から見た上陸地点 登りはじめる

高度が上がる 上がったところに草地があった

更に登る スカイラインを行く

Ullstinden 1078m 頂上 別グループが登ったUllstinden 1093m
1078m頂上からのパノラマ

振り子沢 平なブッシュ帯に出た



トロムソ市内のアムンゼン像   戻る


 ニュージーランドのクライストチャーチに,アムンゼンのノルウェー隊に南極点到達一番乗りをされ、南極点から戻る途中で全員が死亡するという悲劇のイギリス隊を率いたスコットの大きな石像がある。
 ここ北極圏のトロムソにはアムンゼンの像がいくつかある。ハンセン像前の案内板にはこう書かれている。
"Halt !"shouted Arctic Ocean skipper Helmer Hanssen from Andoya. It was 3:00pm in 14 December 1911.
He was suitably dressed in an anorak and trousers in the Netsilik Inuit style, sewn from reindeer hide prepared in Kautokenno and Karasjok. Hansen jumped down from the sledge pulled by experienced dogs from Greenland. He called Amunsen and asked him to ski in front of the dogs for the last section in towards the South Pole itself.

 アムンゼンの成功はスキーと犬ぞりの活用に依り、スコットの敗因は機械力と馬の利用に失敗し、最後は人力でソリを引いたからであった。

アムンゼン スキッパー H.ハンセン