10日(アプローチ)
今年(2007年)は梅雨明けが遅れ、さらに8月にずれ込んだ梅雨明け発表以降も列島にはたびたび寒波が入り込み、厳しい降雨にさらされた。 その不順な空が落ち着くのを伺いながらパッキングを進め、10日夜、新宿駅西口発広河原行きの夜行バスの人となった。 このバスは途中芦安の旅館で3時間程度の仮眠を挟んで、翌日の早朝発の南アルプス村営バスに接続しており、一番バスで北沢峠に着ける。
11日
7時過ぎ、峠の雑踏を逃れるように出発。
北岳を盟主とする白峰三山を歩くとき、西方にどっしりと大きい仙丈岳から南アルプス中部の塩見岳を結ぶ尾根が並行して連なる。県界をなすこの仙塩尾根はその長きがゆえに常々縦走の意欲を掻き立てられた。
そして今、その縦走にさらに南の荒川三山前岳から赤石岳を加えて、歩きでのある長丁場を組んでの出発である。
登り一辺倒の尾根ルートを辿ること4時間20分、辿り着いた仙丈岳の頂には20人ほどの人たちが汗を拭き、記念撮影に余念がなかった。
この周辺では野営は禁止とのこと。すでに昼近くなった今となっては幕営場のある次の両俣小屋まで歩くのは禁物と判断し、今夜は仙丈小屋へ泊ることにする。
眼前には北岳が聳え、その左手に先週歩いた鳳凰三山地蔵岳から早川尾根、アサヨ峰が並んでいる。そして雲をまとって甲斐駒も摩利支天を従えて見え隠れ。頭を廻らすと大仙丈岳をピークにして、明日辿る仙塩尾根が野呂川越に向かって一目散にくだり降りている。
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