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コーカサス スキー &
エルブルース

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中央に三角印が付いたのが動画です。5本あります。三角印をクリックするとスタートします。コメントが出た場合は、「YouTubeで見る」をクリックしてください。 実 施 日 2010年3月30日〜4月12日
発起人
佐藤文昭
報 告 者 平野裕也、羽田登志男(ビデオ 
HP制作者 徳永泰朗 佐藤文昭
参加者数 8名 (会員7名、非会員1名)

ヨーロッパ最高峰エルブルースを望みながら歩く

1日目   3月30日(火)  成田―モスクワ

 17:50にモスクワDターミナルに着く。12時間の旅だった。
 今日の泊まりは空港隣のノボテル・ホテルだ。
 雲助タクシードライバーが寄ってくる。ホテル行きバスなどない
100ドルでミニバスを出すと言う。
 見回すとホテルのシャトルバス発着所のサインが目に付いたのでそこで待つこと
10分、めでたくノボテルのバスに乗り込む。
 ロシア文字が読めないので英語表示以外手も足も出ない。


              12:00成田発モスクワ経由ロンドン行アエロフロート機に搭乗



2日目  3月31日(水) モスクワ―ミンボディー―アザウ

 6:40シャトルで空港Dターミナルへ。出発前から厳しい荷物制限で脅されたが、手荷物は計量されなかった。トイレが汚いソ連時代からの旧式イリューシン3発ジェット機で11:20にミンボディー空港着。
 外に出るとピルグリムツアーのガイド兼ツアーリーダーのウラジミールが出迎えてくれる。パーティーは我々
8人とノルウェーから来た4名、デンマークから来た2名の合計14名、外人チームは20歳台中心で1名女性もいる。ミニバス2台に分乗してアザウに向けて出発する。
 16:10
バクサン谷のどん詰まりにあるアザウのスキー場に到着、建設途中のホテルシェラザードに入る。レセプションもできておらず、おばさんがソファーに座っているだけで至って殺風景である。アカマツとダケカンバ中心の林のなかに瀟洒なホテルが見えるが、一方では道路を闊歩する牛や羊、黒のスカーフに黒のスカートの女性を見ると、ここはヨーロッパとアジア、中東の接点にあることを実感する。
 なぜか建設途中で放棄された(中断された?)建物が多く、これもリーマンショックの影響かと思う。ところかまわずペットボトルやビン、紙などが捨てられており、この広大な国にリサイクルやリユースの思想が浸透するのは容易ではなさそうだ。


A
現地はサマータイム 6時をまわっていても薄暗い    走ること3時間、やっと行く手に雪山が・・・


3日目  4月1日(木) 晴れ 
アザウ―オータオキャンプ―
2995m―オータオキャンプ

 855タクシー2台でホテルを出発、エルブルース村を越えたあたりでバクサン谷右岸のアデュルス谷に入る。
 しばらく行くと道は行き止まりとなり、眼前に斜行エレベータのレールが見える。人車一体で
50mほど上昇させるらしい。
 台地に上がるとそこには軍払い下げらしきトラックが
2台あり、これに荷物と人を乗せて更に上部に進む。やがてボーダーコントロール地域に入り、そこに兵士2名が常駐する小さな小屋があった。パスポートを預け30分ほど待たされたが、無事全員通過。再びトラックに揺られて1130に外見瀟洒、内部はボロボロのオータオキャンプ(標高2360m)に到着する。
 昼食後、早速スキーを履いて
2995mのコルまで登り、滑り試しをする。


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 ベースにした「シェラザードホテル」、未だ工事中   文字通り「煙幕」を張って走る我らの“バス”

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 板のシートに吊革もなく、奇妙な連帯が漂った        外見瀟洒、内部はボロボロ

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ランチの後、早速板を履いて足慣らしに600m登る  ボロボロでも仲間と酒があれば楽しいひと時が


4日目 4月2日(金) 晴れのち雪
オータオキャンプ―グラスノースコスパス―オータオキャンプ


 8時にロッジを出発、平坦で長く広大なアデュルス谷を歩いてグラスノースコスパスを目指したが、天候悪化のため13403555m地点から引返す。ロッジ着1500


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              コーカサスの山小屋でも真向法体操、ゆる体操は欠かせない


5日目 4月3日(土) 晴れ
オータオキャンプ―チョチャットリッジコル―オータオキャンプ―アザウ

 8時にロッジを出発、少しアデュルス谷を詰めてから右岸に落ちるチョチャットリッジに沿った沢を詰める。
 11
55リッジの終点のコル(3265m)に到着、3頭ほどのマウンテンゴートを見る。
 
1300ロッジに滑り降りた後直ちに荷物をまとめ、1500にトラックに分乗して出発、パスポートチェックを受けて再びアザウのシェラザードホテルに戻る。
 途中、装備不備の者がレンタルショップでアイゼンやミトンなどを借りる。平野のアルミアイゼンをガイドが許可しないので鉄製のを借りる(
150ルーブルー約500/日)。
 アメリカ人
2名が加わる。


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         滝のそばはスキーを担ぐ  点ほどにしか見えないが、マウンテンゴートが

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 オータオキャンプ前で帰りのトラックを待ちながら   往きも帰りもパスポートチェックで待たされる


  オータオキャンプ3日間の行動。左上部三色の結合部分が
  キャンプ、1日目青色、2日目赤色、3日目緑色の表示である


6日目 4月4日(日) 晴れ、雪のち晴れ
アザウ―ジャントガンキャンプ―グマチパス手前―キャンプ―アザウ

 8時、タクシーでアディルス谷に向かう。途中、ボーダーコントロールでパスポートチェックを受け、10時にジャントガンキャンプ着。3165mのグマチパスを目指す。ガスが出て降雪が激しい。重い新雪にガイド達はラッセルに手間取り、グマチパス手前で引返すことになる。
 1515に深雪をついて滑降に入る。すごい湿雪で下手に停止するとスキーが抜けない。
 下るにつれて薄日が差し、それに連れて西向きの山肌から雪崩がひっきりなしに起こる。
1650にジャントガンキャンプに到着、タクシーでシェラザードホテルに戻る。ノルウェー人2名が加わり、総勢18名となる。


A
  アディルス谷への下りでは重い雪に苦労した  ガイドのウラジミールを中心に夜のミーティング


        右の赤いラインが本日のアディルス谷ジャントガンキャンプからグマチパスまでの軌跡 
   左はアデュルス谷、昨日までの3日間の軌跡 上部、黄色のラインの外は紛争の国、グルジアとなる
GoogleEarthがインストールしてあれば上記画像のクリックで、GoogleEarthがスタートします

7日目 4月5日(月) 晴れ、雪のち晴れ
アザウ―ミール―プリュート―ガラパシ谷―アザウ

 900にホテルを出発、ゴンドラ2回乗り継ぎで3400mのミール駅へ。初めてまじかにエルブルースを見る。すぐにでも届きそうだが標高差は2000m以上ある。
 グループを
2つに分け、外人グループ+羽田、平野はミール駅からスキーを履き、3800mのバレル小屋を越え、1220 4157mのプリュートまで登る。
 滑走を開始、すぐに左側のガラバシ氷河に入る。上部は全くのノートラック。深雪を蹴立てて下降する。やがて谷は深くなり、急斜面の斜滑降を続けて
1時間ほどでアザウのスキー場から歩いて10分ほどの地点に滑り降りる。
 後行グループはプリュートからスキー場経由で戻りはじめた。


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  スノーキャットの踏んだ跡を4157mまで登る  ノートラックの斜面をガラパシ氷河目指して滑降

8日目 4月6日(火) 晴れ
アザウ―ミールーバレルスハット―バスツーコフ岩―バレルスハット

 830にホテルを出発、ゴンドラを2回乗り継いで3470mのミール駅に着く。これから4日分の食料も一緒に上げるため、あらたに加わったガイド3名と一緒になって荷物の積み下ろしを手伝う。
 外人チームは全員特大のダッフルバッグや特大寝袋を持っているので荷物は多く、歩いてバレルス小屋に入るのは難しいのでスノーキャットをチャーターする。
1300または400ユーロ(約14000ルーブル、約50000円)で贅沢品は高い。2台に分乗して20分、標高差で400m足らずを登り、標高3800mのガラバシ小屋(バレルハット)に横付けする。
 快晴の空の北に主峰エルブルース(
5643m)、南にはかにの爪のような双耳峰を持つコーカサスの鋭峰ウシュバをはじめ4000m超級の峰々が連なる。
 7個並ぶドラム缶の宿舎(61部屋、電気ストーブあり、暖かい)に荷物を入れ、食堂棟で軽いランチをとり12時にアイゼン歩行訓練と高所順応を兼ねて出発。
 今日も羽田、平野
2名は外人と一緒になり先行する。4505mの地点にスキーをデポ、そこからアイゼンに履き替え4700mのバスツーコフ岩まで登る。午後5時を過ぎ、寒くなる。1750にバレルハットに戻る。トイレは2箇所作ってあるが1つはすでに満杯でテリブル状態。もうひとつも怪しげだが小便もトイレ以外では禁止(水作りのため)とのことでひどく評判が悪い。デンマークの1名が下山する。

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昨日シール登行した斜面をスノーキャットで上がる   コーカサスの主峰ウシュバを背にして登行

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   雪に埋まったガラパシ小屋(バレルハット)  4000m超のパフォーマンス 
おバカさんは全裸にまでなった。証拠写真あり。

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     ロシアの美人女性のお給仕で食事   バレルハットの室内 壁は円いが床は平らだ

                       エルブルースに刻んだGPSの軌跡


9日目 4月7日(水)晴れ   休養日

 今日は1日休養日、相変わらず晴れている。風もなく今日は絶好の登頂日和のようだ。しかし我ら8人グループでは体調不良の者も出始め、相談の結果、羽田、河野、平野の3名が残留、あとは下山することに決定、11時にドミトリとともに下る。午後は記録の整理などして時間をつぶす。残らなかった5名の理由は様々であった。


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        手編みの帽子や手袋が並ぶ土産物店 下山した5人はのどかな麓でくつろいだ

10日目 4月8日(木)風雪
バレルスハット―ミール―アザウ

 登頂を目指して残った3名は3時に起床した。
 外は風雪が強く、小屋の入り口も雪でふさがりそうだ。軽く朝食を済ませて待機。
 
4時、5時、6時と待ったが天候に変化がなく今日の登頂は中止となる。
 アメリカ人1名が早々に下山する。昨日予約したスノーキャットは半額がキャンセル料で消えた。明日再度チャンスをうかがうということになったが、問題はスノーキャット。もう
1日待って明日天候が回復しないとまた半額キャンセル料を取られる。3人で相談の結果、下山と決定。
 
3時にノルウェー人の女性と一緒にドミトリの先導で下る。結局、ノルウェー5名、アメリカ1名、デンマーク1名が残留して明日に賭けるようだ。中間駅まで滑り降りると薄日が差し始める。昨日下山したメンバー5名はゲレンデで滑っており、伊藤先生がゴンドラから降りてくるのに会う。17時にホテルに戻り、ふたたび8人が集合する。


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       降り続く雪にバレルの入口も、もともと使い勝手の悪かったトイレも埋まりそうだ

11日目 4月9日(金)晴れ
アザウ―チェゲットスキー場―3500mピーク―アザウ

 目覚めると快晴、残念の一語であるが、我ら8名とアメリカ人1名、ノルウェーの女性1名、計8名でチェゲットスキー場に出かける。
 ガイドはドミトリ。バクサン谷を少し下り、リフト乗り場から
2回リフト乗り継ぎで3000mの雪原に到着。そこからチェゲット山の山腹をトラバース気味に登って3500mの小ピークに着く。バクサン谷を挟んで正面にエルブルースが見える。南側のドングゾラン(4800m)から大きな雪崩が落ち、雪煙が盛り上がった。ここでシールを外し、広大な一枚バーンに思い思いのシュプールを描く。南斜面なので雪があまり良くないのが残念だ。標高が下がるにつれ、明るく開けた沢筋を滑る。日本の春山に入り込んだような気分になる。
 1時間半ほどでチェゲットスキー場に戻り、レストランでボルシチ、ピロシキ、シャシリク、キュウリとトマトのサラダと典型的なロシア料理を楽しむ。
 
夜は近くのレストランで全員集合のフェアウェルパーティーが持たれ、7名の登頂者には写真と登山証明が手渡される。バレルハットで食事を担当してくれたロシア人女性2名にガイドも加わってにぎやかなパーティーだった。羽田さんが感謝のスピーチをして10時過ぎに我々は部屋に戻った。


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   乗合バスでチェゲットスキー場へ向かう 一人目

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二人目 三人目

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四人目 五人目

六人目 七人目


      リフトの山頂駅から2時間ほど登って小ピークに立ち、広大なバーンをほしいままにし、
               そのあと日本の春山を思わせる開けた沢筋に滑り込んだ
パーティー

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 そして八人目の感動のスピーチが全てを締める   コーカサススキーにカンパーイ ハラショー !

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女性スタッフ3名、ガイドと炊事担当 ウォッカをお酌してダンスに誘う、愛嬌満点


12日目 4月10日(土)晴れ
アザウーミネラル涌水―アザウ ハイキング

 天気が良いが雪が悪いので最後の日を付近の散歩に充てる。道路わきに無造作に置かれた雪崩対策用の榴弾砲で遊んだり、咲き始めたオドワンチュカ(フクジュソウに似た花)を楽しみながら早春のバクサン谷を5kmほど下り、鉄分を含んだ炭酸水が湧き出る涌水公園まで行く。
 みやげ物屋が軒を連ね、おばあさんたちが毛糸製品や毛皮製品の帽子や手袋、靴下などを売っている。


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  ザックと兼用靴から解放されて足取りも軽く  真冬のバクサン谷に轟く砲声を聞いてみたいな

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 10日間、雪原に慣れた目には眩しく清新だった       鉄分の匂いが強烈な涌水だった

13日目 4月11日(日)晴れ
アザウーミンボディーーモスクワー成田

 755にホテルを出発、帰途に着く。タクシーで3時間、ミンボディー空港に到着する。 ミンボディーからモスクワに飛び、モスクワ発1940のアエロフロートは12日の10時過ぎに成田に到着、2週間のスキー旅が終了した。


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 10日間楽しませてくれたコーカサスが遠ざかる モスクワ空港でもたっぷりの待ち時間にゆる体操